静岡県袋井市の経営コンサルティング事務所 トヨダ・マネジメント・オフィス(中小企業診断士・1級販売士)のHP 浜松~静岡にかけて活動中!!

商品回転率の算式の疑問点

商品回転率の算式の疑問点

計算式の分子分母は売価または原価に揃えないといけないのか?

一般には商品回転率を求める式は、

売上高/平均商品在庫高

になります。

ここで、平均商品在庫高は原価ベースでよいのか、という疑問がわきます。

売上高が売価だとしたら、在庫も売価でないと正確な商品回転率が求められないのではないかと。
貸借対照表に出ている在庫は原価なので、いったんそれを売価ベースにして計算しないといけないのではないかと。それでないと整合がとれないのではないかと。
  
私も中小企業診断士の受験勉強をしていた初期にはそう考えていました。
    

中小企業庁の経営指標の商品回転率(在庫回転率)の式は売価/原価 

しかし、中小企業庁では販売業の分析計数の算出方法として、

商品回転率=純売上高/(材料+商品+貯蔵品)

材料、商品、貯蔵品はそれぞれ貸借対照表に記載されている原価と考えられ、売上高(売価)を原価である材料+商品+貯蔵品で除して商品回転率を算出していることになります。
 
分子分母を売価ベースもしくは原価ベースに揃えていないのです。
   

大学教授や関連団体も認めている商品回転率の計算方法

なにかしっくりこないかもしれないですが、中小企業診断士の勉強をしていたときに参考文献として購入していた「戦略的商品管理」(同文館)の著者である明治大学教授の徳永豊氏によれば、中小企業庁の商品回転率の式は、正確には商品投下資本回転率を算出する式ですが、それを商品回転率としているのです。
そして、そのような考え方もあると言っています。

私も中小企業庁と同じ考え方を取っています。別に中小企業庁から言われてそうしているのではありませんが。

ちなみに、「戦略的商品管理」(同文館)の該当部分を少し長いですが、転載させていただきます。後半部分にその考え方が示されています。

また、私は一級販売士の資格も取得していますが、株式会社カリアックが出版した販売士一級用公認ハンドブック(平成6年4月1日 改訂4版発行) 市場調査、仕入、在庫管理の228ページから229ページにもこの部分がそのまま転載されていますから、広く認められている考え方だと思います。
(販売士検定は日本商工会議所及び各地商工会議所が実施する検定試験でリテールマーケティング検定とも言います。 経済産業省、中小企業庁後援であり、国家資格ではないですが、公的な資格といえます。)

商品回転率
2.2.1 商品回転率と商品投下資本回転率
マーチャンダイジングの理解にとって基本となるものは、商品回転の概念、その計算方法およびその回転率が正常なものか、異常なものであるかの判断である。
  
 商品回転率(stock turnover)は均衡在庫の程度を測定する手段として、一般に用いられている。それは単純には、商品が店舗あるいはある部門に入り、それが出て行く動きに伴う速度の指標である。形式的に定義すれば、「商品回転率は一定期間(一般的に1年間)にわたって、平均手持在庫が販売されあるいは入れ替えられた時間数である」。

 つまり商品回転率は商品を仕入れて、それが販売された平均期間によって測定される。たとえば4回転ということは平均して商品が3ヵ月ごとに入れ替えられるということを意味する。

商品回転率は通常1年を基準として計算されているが、しかし、それは任意の期間でもよい。たとえば季節的商品については、1年を基準として計算された商品回転率は、必ずしも正しい回転率を示すものではないから、そうした商品については、むしろ該当商品についての一定の季節を1期として、その期間における回転率を算定する方が正しく表示できる。

 商品回転率は商品管理効果のテストとして意義をもつものであるから、小売業・卸売業経営における資本の大部分を占める棚卸商品維持のために利用されるものである。

 商品回転率は、一定期間の売上高を一定期間の平均在庫高で除したものである。

 これは、商品投下資本の回収状態を示すだけでなく、これによって「売れゆきのよい商品」、「売れゆき不振商品」を明らかにし、合理的な商品管理を行うための基礎資料となる。

 商品回転率を求める場合、売上高と在庫高は、金額か数量で示し、つぎの3つの計算式がある。
金額で求める方式  ( 売価で求める方法、 原価で求める方法)
数量で求める方法

商品回転率…… 純売上高/平均在庫高(売価で求める方法)
商品回転率…… 売上原価/平均在庫高(原価で求める方法)
商品回転率…… 売上数量/平均在庫数量(数量で求める方法)

 ①、②の計算式による商品回転率の求め方は、ともに金額を基準としているので、経営全体の商品の回転ならびに部門別の商品の回転をみるのに便利である。

 さらに①の場合は、分母と分子とが売価で示されているから、売価棚卸法を採用している商品には、換算の必要がなく、そのまま利用できる。

 これに対して、③の計算式による求め方は、物量単位による在庫管理を実施する場合の商品の回転率をみるのに便利である。

商品種類別・サイズ別・色別・仕入先別などの商品回転率を検討することによって、売れ足の遅速を判別して商品管理の合理化を促す資料とするのである。

 平均商品在庫高の算出方法は、厳密に考えると意外にむずかしい問題であるが、つぎのような計算式、

①(期首棚卸高+期末棚卸高)/2
②(期首棚 卸高十中間響卸高十期末棚卸高)/3
③〔1/2(期首棚卸高十期末棚卸高)も1月から11月までの月末棚卸高〕/12
④〔1/2(期首棚卸高十期末響高)+51週末の棚卸高〕/52

 などがあるが、一般には、①もしくは②が使われ、さらに1年間を通じての季節変動を重視して算出するならば、③または④を使うことになる。
ところで、この商品回転率の求め方には、つっこんでいくといろいろの問題がある。まず第1に問題となるのは、その計算式である。一般には、

商品回転率=売上高/平均商品在庫高

の式でもって求められる場合が多い。その場合、分子の売上高は売価で表わされており、これに対して分母の平均商品在庫高は原価で表わされている。そこで、分子と分母の評価基準が違うので、この計算方法は正しくないという意見がある。

確かに、売上高のなかにはマージンが含まれているわけであるから、この売上高を原価で表わされている平均商品在庫高で割ったところで、真の商品回転率は求められない。すなわち、売上高に含まれるマージンが大きければ大きいほど、実際の商品回転率よりも大きな数字が示されるわけである。

 だからといって、この売上高(売価)を平均商品在庫高(原価)で割るという計算方法が誤りであるというのは早計であって、それには特別の意味が含まれているのである。それは、実に商品投下資本回転率(sales‐stock ratio)を求めているものである。すなわち、商品に投下された資本が何回転したかを求める計算式である。

 中小企業庁の「経営指標」では、この商品投下資本回転率の算式で商品回転率が求められている。したがって、この指標を利用して判断する場合には、同じ計算方法で求めた商品回転率と比較することによって正しい判断ができるわけである。

以上「戦略的商品管理」(同文舘)明治大学教授 徳永豊著(平成8年3月10日 改訂22版発行)  P30~P32 より転載

Top / 商品回転率の算式の疑問点

powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional