商品回転率とは
商売をやっていると商品回転率(在庫回転率)や商品回転日数(在庫回転日数)とか耳にすることが多いと思います。また部下に聞かれたりもすることもあるかもしれません。
そのとき、あなたは自信をもってこたえられますか。
「分かっているから大丈夫。」とこたえられる方は、これ以上読まなくてもいいでしょう。
自信のない方は、読んでいただくといいかもしれません。
商品回転の知識は小売業や卸売業などの流通業を営む人にとっては必須の知識です。
店長や経営者にはぜひとも理解しておいて欲しいと思います。
商品回転率(在庫回転率)とは?
商品回転率(在庫回転率)は、一定期間内に、企業が保有する平均在庫が販売される回数を示すものです。一定期間の売上高÷一定期間の平均在庫で求められます。現場の商品管理の立場からは商品回転率(在庫回転率)となり、経営層の財務管理の立場からは棚卸資産回転率となります。
商品(在庫)の仕入から販売に至る過程の速さを示す指標です。
商品回転(在庫回転)がいいのは売れている商品
その商品回転率(在庫回転率)ですが、単純に考えると、商品回転(在庫回転)がいいのは売れている商品、回転が悪いのは売れていない商品、ということです。ですから回転が悪い商品は返品や処分の対象となります。これは商売人ならば誰でもなんとなく分かっていることでしょう。
商品回転率(在庫回転率)の意味
では、商品回転率(在庫回転率)が5回転とはどうゆうことでしょう。このへんになってくると分からない方がいるかもしれません。一般に商品回転率とは1年間に商品(在庫)が何回転したかということです。1年間に5回回れば5回転といういことになります。一般に商品回転率(在庫回転率)が大きいほど効率的な経営を行なっていることになります。よく売れている商品を多く揃えていれば、商品回転率(在庫回転率)が良くなります。あまり売れていない商品が多い店舗は商品回転率(在庫回転率)が悪くなります。
商品回転率(在庫回転率)とは1年間に商品(在庫)が何回転したのかを表す指標
1年間に5回商品が回ったら5回転
具体的に考えましょう。
1月1日に店に商品Aが1個ありました。ある日その商品が売れたので、また1個仕入れました。しばらくしたら売れたので、また1個仕入れました。「1個仕入れて、売れたらまた1個仕入れる」、を繰り返し、結局1年間で商品Aは5個売れました。
1年に5回商品が回ったので、商品Aの商品回転率(在庫回転率)は5回転ということになります。1年で5回転ということは平均で2.4ヶ月に1個売れるということです。この期間を商品回転期間(在庫回転期間)といいます。日数にすると、1年は365日ですから、A商品の商品回転日数(在庫回転日数)は約73日となります。
これは73日に1個のペースで売れるということです。
商品回転率(在庫回転率)の計算式
これを金額で考えてみます。商品Aの単価を1000円とすると、1年に5個売れたのだから1年の商品Aの売上は5000円、在庫は1個しか置かないので1000円。商品回転率(在庫回転率)は、1年の売上げ÷平均商品在庫高で計算し、上の例では5回転ということになります。
商品回転率(在庫回転率)=1年の売上げ÷平均商品在庫高
商品在庫全体の商品回転率(在庫回転率)
ここまでは商品Aという1つの商品を基に考えてきましたが、計数管理では商品全体や部門ごとの商品回転率(在庫回転率)を対象にする場合が多いので、これも見ていきましょう。
平均在庫高の算出
まず、商品全体の在庫を調べます。12月31日のたな卸で、店の在庫が500万円だったとします。1月1日の在庫は(=去年の12月31日の棚卸時の在庫額)は550万円でした。ということは大雑把ですが店舗の平均在庫は(500+550)÷2で525万円となります。
平均在庫高=(期首在庫高+期末在庫高)÷2
商品回転率(在庫回転率)
次に1年間の売上を見ます。1年間の売上合計が5000万円だったとします。商品回転率(在庫回転率)=1年の売上げ÷平均商品在庫高で計算します。すると商品回転率(在庫回転率)は5000万円÷525万円で9.52回転となります。
商品回転期間 (在庫回転期間)
商品回転期間(在庫回転期間)は、月で換算すると12÷9.52で約1.25ヶ月、日数では365÷9.52で約38.3日となります。また別の視点で、「うちの店は大体1.25ヶ月分の在庫をしている(年間売上高の1.25ヶ月分の在庫がある)」、という表現もします。
よく分からない方は、こう考えましょう。
平均の在庫525万円を全部売っても525万円です。でも1年の売上が5000万円ということは、525万円分の商品在庫を9.52回分仕入れないと5000万円の売上には到達しません。商品がトータルで見ると店の中で約9.5回入れ替わったわけです。
部門別の経営分析にも利用
また部門別に売上や商品在庫を記録している店舗では、全体とは別に部門ごとで商品回転率(在庫回転率)や商品回転期間(在庫回転期間)を計算すると、部門別の経営分析ができるので、やってみるとよいでしょう。
商品回転率(在庫回転率)が悪い(低い)のは、在庫投資の過大(売れていないのに多くの在庫を抱えている-つまり効率が悪い商売をやっている)や不良在庫を抱えている可能性があります。
また、上場会社は財務諸表がEDINETで公開されていますから、同業種の企業を探して財務諸表から商品回転率(在庫回転率)を算出し、あなたの店舗(企業)と比較することもできます。
適正(目標)在庫金額の算出法
上記のEDINETで目標とする企業の財務諸表から適正(目標)在庫金額を算出することができるので、参考にすると良いでしょう。この式は商品回転率(在庫回転率)=1年の売上げ÷商品在庫を変形し、適正(目標)商品在庫高=自店(自企業)の1年の売上÷(目標とする企業の)商品回転率(在庫回転率)となります。
この式により適正な商品在庫高を算出し、現在の実際の在庫高と比較することにより、効率的な経営を行なっているかそうでないかがわかります。
商品回転率(在庫回転率)=1年の売上げ÷商品在庫
(目標)商品在庫高=自店(自企業)の1年の売上高÷(目標とする企業の)商品回転率(在庫回転率)
ここで問題です。
12月31日にあなたの店の棚卸をしたところ、在庫が300万円ありました。去年の棚卸では320万でした。店の1年間の売上は3000万円です。
商品回転率(在庫回転率)と回転期間を求めてください。
解答
商品回転率(在庫回転率) 約9.7回、商品回転期間(在庫回転期間) 約1.2ヶ月(約38日)
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