富士山大規模噴火の時、溶岩流の被害はどうなる?

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富士山大規模噴火の時、溶岩流の被害はどうなる?

静岡県では計10市町に被害

  • 短時間で被害が広範囲に及ぶ

3月26日の静岡新聞夕刊に富士山大規模噴火の時、発生した溶岩流がどの程度の範囲に及ぶのかについて書かれた記事が掲載されていました。

今回はその話です。

該当する地域の企業はBCPでも検討することが必要でしょう。

2時間で溶岩流が町に到達してしまう

  • 御殿場市は富士宮市では溶岩流が2時間で到達

富士山噴火の溶岩流到達可能性マップを見てもらうとわかりますが、驚くほど短時間で広い範囲に溶岩流の被害が及ぶことがわかります。

特に御殿場市や富士宮市では溶岩流が2時間で到達する可能性があるというのです。

すぐに逃げないと命を落としてしまいます。

富士山噴火の溶岩流到達可能性マップ

画像出所:2021年3月26日静岡新聞夕刊

富士山火山防災対策協議会が公表

  • 県内では計10市町に災害が広がる可能性を明示

今回の記事は静岡、山梨、神奈川県などでつくる富士山火山防災対策協議会により3月26日に公表されたものをまとめたものです。協議会は富士山の噴火被害を想定したハザードマップ(危険予測区)の改定版を公表したのです。

大規模噴火のシミュレーションでは、新たに富士川沿いの静岡市清水区や沼津市、清水町に溶岩流が到達するなど、県内では計10市町に災害が広がる可能性を明らかにしました。

同協議会はハザードマップの改定に伴い2021年度、3県の状況を踏まえた噴火時の広域避難計画の見直しに入る予定です。

 

より緻密なハザードマップに

  • 前回の200メートル四方から20メートル四方に細分化

ハザードマップの改定には前回18年の公表から3年間を要しています。

本年度は中・大規模噴火時の溶岩流や、山復の雪が火砕流で解けて土石を巻き込んで流れ下る融雪型火山泥流の被害想定を中心に作業を進めています。

シミュレーションでは地一形データを反映するため、従来の200メートル四方から20メートル四方に細分化して、より緻密なものになっています。

 

溶岩流の流出量は前回好評の約2倍

  • 前回公表の7億立方メートルから今回は13億立方メートル溶岩流出量に増加

大規模噴火の溶岩流は、過去5600年間で最大規模の貞観噴火(864年)を基に、想定される流出量をこれまでの7億立方メートルから13億立方メートルに増やしています。

 

噴火火口数も増加

  • 噴火火口数は前回の5倍

新たに確認された火口噴火の痕跡)を考慮し、中・小規模噴のケースを含め、前回マップの約5倍となる計252地点を設定しています。

短時間で溶岩流が到達

  • 御殿場市や富士宮市では溶岩流が2時間で到達

冒頭でも触れましたが、溶岩流は2時間以内に富士宮市の市街地や御殿場市の郊外にまで流れ込み、1日以内に裾野市や富士市の市街地に達することがわかりました。

最終的には同市の駿河湾まで届いたほか、富士川河口の静岡市清水区や黄瀬川下流の沼津市、清水町にまで到達するということです。

富士山ハザードマップ

富士山ハザードマップは富士山の噴火に備え、想定される火口範囲や溶岩流、火砕流などの災害到達エリアを示した危険予測図のことです。

国や静岡、山梨、神奈川3県と有識者らで構成する協議会が2004年6月に策定し、新たな科学的知見を反映するため21年3月に初めて改定しました。ハザードマップは行政が避難計画を策定する際の基礎資料となります。

富士山ハザードマップ改定のきっかけ

  • 噴火可能性のある火口が想定よりも市街地に近い場所にあった

今回のハザードマップ改定のきっかけは、最近の調査・研究によって、噴火可能性のある火口がこれまでの想定よりも市街地に近い場所に確認されたからだそうです。

そして、富士山の最大級の噴火とみられてきた貞観噴火が想定の2倍近い規模であることがわかってきたからだということです。

 

噴火予知の難しさ

  • 富士山の溶岩流は粘り気が少なく、噴火前兆の把握が難しい

気象庁や研究機関では様々な観測機器を使って噴火の前兆をとらえようとしています。

しかし、富士山は粘り気の少ない玄武岩マグマで、噴火の前兆を把握するのは簡単ではないようです。明確な前兆をつかんでから噴火までは、数時間から数日程度までと短く、仮に前兆をつかんでも避難などに要する時間的な余裕はそれほどないということです。

 

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